800万円以下の不動産売買、仲介手数料はどう変わった?売主・買主が知っておきたい改正ポイント

「実家を売りたいけれど、そもそも査定額が低そうで、不動産会社に断られないか心配」
「古い戸建てや土地を売却するとき、仲介手数料はいくらかかるのだろう」

西三河エリアで空き家や低価格帯の不動産の売却を検討している方から、こうした声をよく耳にします。実はこのテーマに深く関わる制度が見直され、800万円以下の不動産取引における仲介手数料の上限額が変更されました。この改正は、これまで「売りにくい」「扱ってもらいにくい」とされてきた低価格帯の物件の流通を後押しする狙いがあります。

本記事では、仲介手数料の基本的な仕組みから、今回の改正で何が変わったのか、そして売主・買主それぞれにとってどのような影響があるのかを、具体的な数字を交えながらわかりやすく解説します。岡崎市・豊田市・安城市・西尾市・幸田町で不動産の売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

■仲介手数料とはそもそも何か

不動産を売買する際、多くの方は不動産会社に「媒介契約」を結んで売却活動や購入活動を依頼します。この媒介の対価として、契約が成立した際に不動産会社へ支払うのが仲介手数料です。仲介手数料は成功報酬であり、契約がまとまらなければ原則として発生しません。

この手数料には上限額が定められており、国が定めた計算式に基づいて算出されます。売買価格に応じて、次のような速算式で計算するのが一般的です。

・200万円以下の部分:売買価格の5%
・200万円超400万円以下の部分:売買価格の4%+2万円
・400万円超の部分:売買価格の3%+6万円

たとえば売買価格が1,000万円であれば、仲介手数料の上限は「1,000万円×3%+6万円=36万円」(税別)となります。この計算式自体は1970年に定められて以来、長らく変更されていませんでした。

■低価格帯の物件が抱えていた課題

この速算式でネックになっていたのが、低価格帯の物件です。たとえば売買価格が200万円の土地であれば、仲介手数料の上限は「200万円×5%=10万円」(税別)にすぎません。しかし、価格の低い物件だからといって、不動産会社が行う調査や現地確認、書類作成、買主とのやり取りといった業務量が少なくなるわけではありません。むしろ、遠方にある空き家や境界が不明瞭な土地などは、通常の物件以上に手間と時間がかかるケースも多くあります。

その結果、不動産会社にとって「労力に見合う報酬が得られない」物件として敬遠されやすく、売主が売却を依頼しても断られてしまったり、積極的な販売活動をしてもらえなかったりする状況が生まれていました。これは全国的な空き家の増加という社会問題とも密接に関わっており、放置された空き家が周辺の景観や治安に悪影響を及ぼすことも懸念されてきました。

■2018年の特例と今回の改正

こうした課題を受けて、2018年(平成30年)にはすでに一度制度の見直しが行われています。「低廉な空家等の媒介特例」と呼ばれる制度で、売買価格が400万円以下の物件については、通常の計算式に上乗せする形で、売主から最大18万円(税別)の仲介手数料を受け取れるようにするものでした。ただし、この特例は売主のみが対象で、買主には適用されませんでした。

そして2024年7月1日、国土交通省の告示改正によってこの特例がさらに拡充されました。主な変更点は次の2つです。

・対象となる売買価格の上限が「400万円以下」から「800万円以下」に引き上げられた
・特例の対象が売主だけでなく、買主にも拡大された

この改正により、売買価格が800万円以下の宅地・建物であれば、通常の速算式にかかわらず、売主・買主それぞれから上限30万円(税別、消費税込みで33万円)の仲介手数料を受け取れるようになりました。空き家に限らず、現在人が住んでいる戸建てやマンションであっても、売買価格が800万円以下であれば対象になる点は覚えておきたいポイントです。

■具体的な金額でイメージする

言葉だけではわかりにくいので、実際の売買価格ごとに、改正前と改正後の仲介手数料の上限を比べてみましょう(いずれも税別)。

・売買価格300万円の場合
 改正前の通常計算:300万円×4%+2万円=14万円
 特例適用後:上限30万円

・売買価格500万円の場合
 改正前の通常計算:500万円×3%+6万円=21万円
 特例適用後:上限30万円

・売買価格800万円の場合
 通常計算:800万円×3%+6万円=30万円
 特例適用後:上限30万円(実質的に通常計算とほぼ同水準)

このように、価格帯が低くなるほど、改正の影響は大きくなります。300万円や500万円といった低価格の物件では、これまでの計算式に比べて仲介手数料の上限が大きく上がることがわかります。一方、800万円に近い価格帯では、通常の計算式との差はそれほど大きくありません。

なお、賃貸取引についても見直しが行われています。長期間使用されていない、または今後の使用の見込みが立たない「長期の空家等」を貸し出す場合、貸主から受け取れる報酬の上限が、通常の家賃1カ月分の1.1倍から2.2倍に引き上げられました。売買だけでなく、空き家の賃貸活用を検討している方にも関係する変更です。

■売主・買主それぞれへの影響

売主にとっては、これまで「安すぎて不動産会社に扱ってもらえない」というリスクが小さくなることが大きなメリットです。低価格帯の物件でも、不動産会社が調査や販売活動にかけるコストに見合う報酬を得やすくなるため、積極的に売却活動を進めてもらいやすくなります。特に、遠方にある実家や、長年放置していた土地の売却を検討している方にとっては、選択肢が広がる改正といえるでしょう。

一方で買主にとっては、これまで手数料の上限に含まれていなかった特例が適用範囲に加わったことで、物件によっては従来より手数料が高くなる可能性がある点に注意が必要です。特例を適用するかどうか、また具体的な金額がいくらになるかは、契約前に不動産会社との間で締結する媒介契約書に明記されることになっています。売買契約を結ぶ前に、仲介手数料の金額や特例の適用有無について、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

■西三河エリアの空き家事情とこの改正の意味

岡崎市・豊田市・安城市・西尾市・幸田町を含む西三河エリアでは、市街地から少し離れた地域を中心に、相続をきっかけに空き家となった戸建てや、活用が難しい小規模な土地を抱えているご家庭が少なくありません。こうした物件は、立地や築年数の関係で売買価格が低くなりやすく、これまでは「仲介を依頼しても、あまり積極的に動いてもらえないのでは」という不安を感じる方も多かったのではないでしょうか。

岡崎市周辺では、実家じまいや空き家の相続を機に売却や活用を検討するケースが増えており、境界確認や名義変更、相続登記といった手続きが必要になることも珍しくありません。今回の仲介手数料の改正は、こうした低価格帯の物件でも不動産会社が丁寧に対応しやすくなる後押しとなるものです。豊田市や安城市のように郊外に古い戸建てや土地を所有している場合、西尾市や幸田町のように農地に近いエリアで売却を検討している場合など、それぞれの地域事情に応じて、まずは物件の状況を整理し、複数の視点から相談してみることをおすすめします。

■まとめ

2024年7月1日の改正により、売買価格800万円以下の不動産取引における仲介手数料の上限は、売主・買主それぞれ最大30万円(税別)となりました。従来は400万円以下の物件かつ売主のみが対象だった特例が、800万円以下・売主買主双方へと拡大されたことで、これまで扱いが難しいとされてきた低価格帯の物件も、不動産会社にとって取り組みやすくなっています。

「価格が低いから売れないかもしれない」「相談しても断られるかもしれない」と諦める前に、まずは物件の状況を専門家に相談してみることが、次の一歩につながります。空き家や低価格帯の不動産の売却でお悩みの方は、エステート・ラボの無料相談も選択肢の一つとしてご検討ください。

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